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日本語をこねくり回す。映画や音楽にケチをつける。変なものを変だと言う。変じゃないものにも変なこと言う。カテゴライズするのは結構だが、複数のかけ離れたジャンルを少しずつかじるような人の立場は。

since apr.01,2005

 
<!>ここでは過去の日付に新しい記事が追加されることが少なからず、というかかなり頻繁にあるので、暇な人は「新着」に騙されないように掘り返してみてね。

日本語…じゃなくてほぼ英語の話なのだけど。そして、こういうこと言い出すとそれこそきりがないのは分かってるけど。

彼女のカレラ 最初に「ん?」と思ったのは、『彼女のカレラ』(麻宮騎亜著、集英社、2005~)に出てきた、この給油口ステッカー。

いわく、

WARNING!!
THIS PORSCHE
PREMIUM FUEL ONLY.
DO NOT USE
FUEL ADDITIVES.
と。「THIS PORSCHE」なんていかにも“文”っぽく書き出してるわりに、動詞がないぞ。雰囲気的に「PREMIUM-FUEL」という動詞として書いてるとも思えないし。日本語で例えるなら、「こちらのポルシェ必ずハイオクガソリン。燃料添加剤は使用しないでください。」みたいな感じか(注:翻訳ではない)。え、添加剤使っちゃダメなの?…じゃなくて、後半はちゃんとひとつの文になってるから、前半の“文になってなさ”が余計に目立つ。間違ってるとか間違ってないとかじゃなくて、どうにも据わりが悪い。「THIS PORSCHE, PREMIUM FUEL ONLY. NO FUEL ADDITIVES.」ならまだマシだったかも。一体なんでこんなことになっちゃったんだ?

給油口ステッカー と思ってたら、街でこんなステッカーを貼ってる車を見かけて、これのメーカー名の部分を置き換えた各種バージョンが売られていることを知った。どっちが先か知らないが、どっちかがどっちかの下敷きになっているのだろう。

WARNING!!
THIS TOYOTA
UNLEADED FUEL ONLY
ESSENCE SANS
PLOMB SELEMENT
だそう。後半はフランス語らしく、私はフランス語知識がゼロなのでわかりませんが、「SELEMENT」というのは「SEULEMENT」の誤植らしい。ま、それはスルーして、前半。なんでこんなことになっちゃったのか。

おそらく、「UNLEADED FUEL ONLY. ESSENCE SANS PLOMB SEULEMENT.」という文句は、輸入車や輸出仕様のクルマに貼られているステッカーか何かからそのまま引用したのだろう。それに、どういうわけかどうしてもメーカー名を入れたくなっちゃって、とりあえず頭に「THIS TOYOTA」と付け足してみた、という感じだろうか(フランス語の方には「CETTE TOYOTA」(で合ってる?)って付けなかったのはなぜ)。そもそもこの文脈で「THIS」を使う感覚がまず理解できないが、それ以前に、なんでそこまでして「これはトヨタ車です!」と主張したいのか。トヨタ車に貼ってあるんだから、見りゃ分かるだろう。日本語に置き換えて考えてみよう。「このトヨタ車は…」なんて書かないでしょ、ふつう。せいぜい「この車は…」となるはず。日本語だとそもそも主語を省略する文化が強いから云々は省略。

ま、所構わず自分の愛車の名称(メーカー名)をアピールしたくなる気持ち/理由は実際のところ理解できなくもないのだが。カスタムしつつも純正っぽく見せたい…というより、愛犬の名前入りステッカーや、好きなミュージシャン(ヤ○ワとか)のステッカーを貼るのとある意味同義だと思う。よっぽど好きなんだね、と。

話を戻して、そもそもこういう警告文は“文”じゃなくていいんです。日本語だったら「【警告】無鉛ガソリン専用(車)」でいいわけだし。どーーーしても「THIS TOYOTA」で始まる“文”にしたいというなら、「THIS TOYOTA ACCEPTS UNLEADED FUEL ONLY.」「THIS TOYOTA RUNS ON UNLEADED FUEL ONLY.」とかにする感じですか。大排気量車なら「THIS TOYOTA EATS UP UNLEADED FUEL ONLY.」「THIS TOYOTA GUZZLES UNLEADED FUEL ONLY.」とかでもいいかな。もしくは、頭に動詞をつけて「FEED THIS TOYOTA (WITH) UNLEADED FUEL ONLY.」とかにした方がシンプルか。文法間違ってたらごめん。で、そしたら当然フランス語の方も“文”に直さねばならないが。現代日本に有鉛ガソリンなんて売ってないんだからこの文句自体無意味だろ(これだけではレギュラーかハイオクか分からない)、とかいうツッコミはこの際入れるまい。

セキュリティステッカー 更には、こんなステッカーも売られていた。

DON'T TOUCH!
SECURITY SYSTEM
PROTECT THIS MITSUBISHI
だって。「SECURITY SYSTEM」が主語の文にしたいなら、「三単現のS」って中学校で習ったでしょう。え、もしかして何らかの理由(洋楽で「She don't~」とかよく使われてるように)で意図的になくしてる?だとしたら、だとしなくても、「THIS MITSUBISHI」なんて野暮ったい文句をわざわざ入れなくていいでしょう。というか、だから“文”にする必要はないんだってば。

衝突しないでステッカー

DON'T CRASH!!
MY SWEET BABY
IN ALFA ROMEO
I HOPE,
ALWAYS PEOPLE
SAFETY DRIVE!!
ここまで来るともう、何も言えません。コンマから「I HOPE」は上の2行に掛かっているというふうに解釈できなくもないが、どうか?

海外で「衝突しないでください!!アルファロメオに私の大切な赤ちゃん願っています、いつも人々安全運転!!」ってステッカーを貼ってる車を見たらどう思いますか?(注:翻訳ではない)

「赤ちゃんが乗っています」ステッカーを見るたび、「だから何(それによって私に何を望んでいるの)?」と思っていた。「だから多少遅くても煽らないでね」(デイサービスのワゴンが「高齢者送迎中」と貼ってるのと同じ意味合い?)と言いたいのか?それとも「私はかわいい赤ちゃんを乗せて走っている。この幸せを皆と分かち合いたい!」(ペットやミュージシャンの名前ステッカーを貼ってるのと同じ意味合い?)と単に主張したいのか?なんて考えていたが、本来は全くそうではなく、「この車には、自力で脱出できない人間が乗っています。万一この車が事故に巻き込まれているのを見たら、手助けをお願いします」という意味なのだ。なるほど…。だから、ちょっとカッコつけて(?)英語にしても「BABY ON BOARD」じゃなくて「BABY IN CAR」なんだ。日本人に分かりやすいように。このステッカーを貼っている車がパチンコ店の駐車場に停まっているのを見たら以下略。

英語に詳しい人、ご意見お待ちしてます。画像の一部はウェブから拝借しちゃいました。問題があったら言ってください。

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▼この記事|| 2011/01/23(日)| 日本語| トラ(0) | コメ(0)
紅葉氷漬け

今年の初詣は1月3日だった(っけ)。

2012(2009、米)

NASAが『一番「ねぇわ」と思う映画』に選んだ記念に観てみた。そういうミーハー(古語)な人って多いと思うので、これで名前が挙がった映画はセル/レンタルの売上げが上がるんじゃないだろうか。

観たんだけど、感想というような感想は…。主人公ジャクソンのドライビングテクニックと強運スゲー、と思ったくらい。なんで物書きがショーファーやっててこげん超絶運転技術を持っとう?そこんところの説明ってあったっけ。『ハイ・フィデリティ』(HIGH FIDELITY、2000、米)を観て以来「ダメ男」役のハマりっぷりに全俺が熱狂したジョン・キューザックだが、この映画の中ではどうも不完全燃焼だった感が否めない。こんなダメ男だったら自分もなりたい!とは到底思えないというか。ダメさが不足しているからだろうか。

なんでもいいんだけど、この、言ってしまえば何も解決していないし何も成し遂げていないのに映画として何となくグッドエンド(少なくともバッドエンドじゃない)風にまとめちゃってるところがものすごーくイラっとくる。『アイランド』(THE ISLAND、2005、米)で感じたのと同じ(「アイランド」はチラ観しただけでちゃんと観てないけど)。『風の谷のナウシカ』(1984、日)を見習いなさい。…どうも他の作品の名前を挙げるとケイオスになってしまうようである。

NASAがこの映画を「最もありえん」としたのは、この話が妙に「ありそう」だったために、本当に信じちゃった人がいて声明まで発表する羽目になったりしてうんざりしたから、だろう。科学的にもっとありえないSci-Fi映画なんて他にいくらでもあるだろうし。そういう意味では、この受賞(?)は誇っていいと思う。が、個人的には、この映画が特別な何かとは思わない。何のランキングにも、ベストでもワーストでも、ランクインしない。

▼この記事|| 2011/01/15(土)| 映画| トラ(0) | コメ(0)